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2005/04/20

にかい屋

331turu子供の頃お小遣いをもらうと、アイスクリームやお菓子を買いに、よく近所の「にかい屋」に行ったものだった。
そのお店は、食べ物の他にも一帖(20枚)10円のわら半紙を売ってたりして、子供だった私が欲しいものは大概手に入れることができた。

絵を描くのが好きだった私は、普段はザラ紙の一面にしか印刷されていないチラシの裏に描いていたから、買って来たわら半紙に絵を描くのは、ちょっとした贅沢でもあった。

駅前まで行けば商店街がある。しかし子供の足では距離があるし、一人で行くのは勇気が要った。そこへいくと、住宅街の中にポツンとあるそのお店は、格好のロケーションだったのだ。

そこなら親も安心だったのだろう。「にかい屋に行ってくるね」と言えば、それでOKだった。子供同士連れ立って行く時も、「にかい屋に行こう」で通じていた。

だから、大きくなってから、その商店の屋号が「にかい屋」ではないと知った時の驚きは大きかった。

なんと、「にかい屋」とは「二階屋」の事だったのだ。
当時の住宅は殆どが平家建て。その中で唯一の二階建てだから、二階屋と呼ばれていたのだと言う。

そう言えば、ちょっと離れた友達の家に行った時、新築の家の階段を物珍しく眺めた覚えがある。小学校の広い階段は見慣れていたけれど、三尺幅の民家の階段を見たのは初めてだった。

近所の家が建て替えられる度に、二階建てになっていくのはその後の事だ。それはちょうど、高度経済成長の時期と重なる。
なにか、世の中全体が豊かになっていくのを肌で感じていた。オリンピック開催や、それに合わせて開通した新幹線を、子供心にも誇らしく思ったものだった。

そして、景気が良くなるにつれ、チラシもツルツルの紙にカラーの両面印刷が多くなった。
ザラ紙で裏が白いチラシを探すのも、だんだん困難になってきて、とうとう私が諦めた時。それは、わら半紙に絵を描く事を、さして贅沢とも思わなくなった頃だったのかもしれない。

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コメント

nanbuさんの少年時代は、なんてほのぼのしているんでしょ。
普段手に入らないものが手に入ったときの喜びや、もののありがたさや、
無いなりの工夫などなど。
不便という言葉で片付けてしまうにはあまりに惜しい「豊かさ」があったように
思います。物質的豊かさではないですね。スローライフが見直されてきて
いるのもそういうこと?
チラシの裏、何か考えをまとめたいときの初期の殴り書き(描き)などに、
今でも使いますよ。

「にかい屋」が二階建ての家をさす「二階家」とお知りになったときの
驚き、なんかわかるなぁ。笑っちゃいましたけど。

ところで、写真は何というお花ですか?

投稿: ポージィ | 2005/04/21 10:36

>ポージィさん
>チラシの裏、何か考えをまとめたいときの初期の殴り書き(描き)などに、
今でも使いますよ。

カラー印刷用のコート紙より、ザラ紙の方が鉛筆のノリがいいんですよね。(^^)
にかい屋=二階屋だと聞いたのは、大人になってからで。
ホントにビックリしましたけど、聞くまで気づかなかった自分の思い込みの激しさにもビックリしました。(^^;)

>ところで、写真は何というお花ですか?

ゴマノハグサ科の宿根草で、コリセウムアイビーという名前でした。ツルをどんどん伸ばして茂るので、ハンギングバスケットに便利ですよ。こぼれ種からの繁殖力も強くて、この写真のものも、玄関のタイルの目地から芽を出していたのを、ポットに植替えたものです。

投稿: nanbu | 2005/04/21 11:22

おはようございます。
名前を教えてくださってありがとうございます。
コリセウムアイビー というのですか。 うぅ覚えられん…
(何気なく変換キー押したら「凝り背生むアイビー」に。^^;)
初めて見ました。葉っぱの形も面白いし花はかわいいし魅力的です。
手がかからなさそうなのもいいワ。
アイビーの仲間は皆丈夫で元気なんですね。

投稿: ポージィ | 2005/04/22 09:42

>ポージィさん、おはようございます。

あは!実は、私も苗に付いてきたタグを見てお答えしただけです。(^^;
名前を覚えるまでは、とっておこうと思っての事なんですけど、覚えられそうもありません。
(ちなみに、ウチの変換は「凝り瀬有無アイビー」でした。)

>葉っぱの形も面白いし花はかわいいし魅力的です。

ちいさな花なんですけど、薄紫色がキレイで好きになりました。
キンギョソウと同じで、花の両脇を押すとパクっと口を開けるのも面白いです。
(入ってきた虫の背中に、花粉を付けてもらう仕組みなんでしょうね。)

投稿: nanbu | 2005/04/22 10:30

このお花、
おや?と思い、調べてみましたが、
蔦葉海蘭(つたばうんらん)ですね。
凄く増えますです。
抜いて一日放って置いて
萎れた物でも、土に触れれば復活していきますよね・・・

家は似た形のお花でクレゴマ(垣通し)
があり、ミントのような香りがあります。

わら半紙って、いいですよね。
私が頼んでいる通販化粧品の梱包のクッション材に 
柔らかいザラ紙が丸めて使ってあって、
来るたびに伸ばして取ってあります。
ちょうど、目を傷めないための蛍光材の無いノート
(アイイーズ仕様のもの?)のような色で
良い感じです。

投稿: ひょん | 2005/04/25 17:09

>ひょんさん
>蔦葉海蘭(つたばうんらん)ですね。

よく見つけましたね!私も検索してみましたが、まさしくコレです。
クレゴマの方も見てみましたが、ホントによく似てますね。

>萎れた物でも、土に触れれば復活していきますよね・・・

ポーチュラカなんかと同じですね。
伸び過ぎたツルを切って捨てても、次の日ゴミ箱を開けたら花を咲かせてたりして。
申し訳ないような気がしちゃいます。

わら半紙は、ほっとする感じがありますね。
今の真っ白なコピー用紙は、昔は上質紙と言ってたのに。
「普通紙」と言うのが後ろめたく感じます。

投稿: nanbu | 2005/04/25 20:54

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