ノンフィクション
●トランス雑記その19
私を含め、世の中には恐がりな人がいる。
でもその恐がり方には、2パターンあるような気がする。
ホラー映画が怖いという人と、血を見るのが苦手という人。
「どこが違うの?」と言われそうだけれど。
両者には歴然とした違いがある。
ちなみに、私は後者の方。
テレビのドキュメンタリーなどで、たまに出てくる手術場面。
これがどうも苦手だ。(子供の頃も、怪我をした痛さでは泣かなかったけど、そこから血が出て来るとたまらずに泣き出した。)
でも、ホラー映画は平気。
つまり、ノンフィクションと作り物の違いである。
映画でどんなに血みどろになろうが、それは作り物として受け流せる。
そりゃ、無気味な音楽で不安を煽っておいて、大音響と共にいきなり「血みどろ」が出てくれば、「ワオ!」と声を漏らす。
が、それは「怖い」と言うよりも、「びっくりした」に近いだろう。
その辺りが、夜中に一人でホラー映画を見られない家内とは対照的だ。
(なのに家内は、手術場面にモザイクがかかるのを残念がる。)
どうも両者には、決定的な違いがあるようだ。
何を血迷ったか、去年('03年)「人体の不思議展」を見に行ってしまった。
母子で行くのに付き合ってしまったのだ。
この展覧会、行かれた方も多いと思うけれど。
人体を特殊な樹脂で固めた標本(と言うのは憚られるが、他に言葉が見つからない。)が、多数展示してあった。(中には、2〜3cm幅に輪切りにして、ズラッと並べてあるものまで。)
満員の会場に、一歩足を踏み入れた瞬間、後悔した私。
案の定、その後一週間程は、ハムを食べるのが辛かった。
さて、スーパーでの事だ。
買い物をする家内を、ペットフード売り場で、息子と二人待っていた。
すると、何気なく商品を見ていた私の目が釘付けになった。
そこにあった「ビーフジャーキー」の質感が、あの「筋肉まる出し」の標本に酷似していたからだ。
「ウッ」と思った瞬間、背後から「うまそう…。」という息子の声が聞こえた。
何というデリカシーの無さ!
親であるこの私がたじろいだ、その同じ物を見て、食欲をそそられるとは…。
しかもペットフードにである。
その逞しさは頼もしいかぎり。
・・・でも。
その時振り向いた私の目には、別の種類の人間を見るような、畏怖の色が浮かんでいた筈だ。
'04年7月29日
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変なタイトルだけど、変圧器のことじゃありません。
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